僕は寒さに強いわけではないのでプールに入る時には結構勇気が要ります。現在パーソナルトレーニングを行ってるプールも水温があまり高くないのでレッスン前には「今日は少しでも水が温かいといいな。」なんて思ってしまいます。
昨日も水泳パーソナルがあったのですが、受講者の男性Aさんが先にプールに入り一言。
「今日は水がいつもより冷たいな。」
僕は心の中でため息をつきます。
(冷たいのか…入る時覚悟が必要だな…)
しかし次の瞬間思い直します。
(このまま水の冷たさに怯える人生を過ごし続けるのか…?)
(いや、そんなんでいいはずがない。)
その瞬間に浮かんできた言葉。「心頭滅却すれば火もまた涼し」。
(揺れる感情があるから冷たく感じるんだ。感情の波を消せばつらいことは何もない。)
アーサナで培った深い呼吸。瞑想で養った今に集中する力。
全集中水の呼吸拾壱ノ型、凪(笑)
今この瞬間だけに集中し、感情の揺らぎを無くしたら本当に水が冷たくなくなりました。皮膚にひんやりした刺激があるだけです。まさに心は凪。
Aさんがもう一度「今日は冷たいですね。」なんて言うものですから、心頭滅却調子に乗った僕はこう言い放ちます。
「感情の揺らぎのせいですよ。心のブレがなくなれば冷たさなんてなくなるのですよ。」
宣教師並みの落ち着きぶり。さっきまでビビってたのに急に上から目線。そんな自分自身への驚きを隠しつつもAさんに心や感情の影響を簡単に説明しました。するとAさんは、
「昔似たような経験がありまして…」(あるんかい!)
と話を切り出します。それによると十数年前Aさんはゴルフを定期的にやっていたそうでその頃は全身の痛みや重さ(肩周りや肩甲骨付近、下半身など)に悩んでいたそう。その辛さを解消したくてマッサージやその他の治療を色々試していたというのです。
そしてある時初めて鍼治療を受けに行ったそうです。そこで肩甲骨内側などに鍼をうってもらいました。Aさんは最初鍼を刺すことに痛いイメージを持っていたのですが実際体験してみると痛いどころかほんわりと気持ちいい。なんだかいい感触だったようです。
しかし鍼をふくらはぎに何本も打ってもらっている最中にAさんは何気なく自分のふくらはぎの方を見てしまいました。そして次の瞬間何が起きたかというと、、
突然のふくらはぎの激痛。
そして急な貧血で頭が真っ白。意識が朦朧としてフラフラな状態になってしまいました。
救急車を呼ぶようなレベルだったそうです。
これはさっきの僕の水の冷たさとは逆の話です。同じといえば同じことですね。
鍼がたくさん脚に刺さってるのを見て存在するはずのない痛みを自ら作りだしてしまったのです。人間は脳で全て知覚することを考えると作り出された幻の痛みはその人にとっては本物の痛みです。Aさんは自分の意図しない所で自ら身体にショックを与えてしまったのです。
ちなみにAさんはとりわけ鋭利な物を見るのが苦手とか血を見るのが苦手とかいうわけでもないそうです。スプラッター映画もよく観るそう(笑)
この辺りの話には自分の生活に活かせる部分がかなりあると思います。
以前よりストレスの多いであろう今日この頃、みなさんは何を感じますか?