東大受験物語 第八話「もしもし?」

2020/06/11
東大受験物語 第八話「もしもし?」
梅雨入りしましたね。低気圧に弱い方は辛い季節かもしれませんが、体調に気をつけてお過ごしください。

今日は毎週金曜連載の東大受験物語の日ですが、2週にわたる番外編を経て今回からまた本編に戻ります。いよいよ受験勉強も後半戦に突入。どうなることやら。。

前回のお話はこちら↓



毎週水曜日新宿ルノアールでのN田との闘いや週1〜2回家に来てくれるK君のおかげで受験勉強は加速し気付けば季節はもう冬の入り口まで来ていました。

勉強の進度はというと科目によって差はありますが、高校一年〜三年までの教科書がなんとか終わるか終わらないかくらいの感じでした。受験勉強を開始してから約4ヵ月でした。自分としては3ヵ月程度で高校の内容を全て終わらせるイメージで勉強していたので、それよりはだいぶ遅れています。しかしたいていの事が予定通りに行かないことも知っていたので、その捗り具合にもある程度納得はしていました。

ある日のルノアールでN田がふいに僕に言います。

模試は一度受けておいた方がいいかもしれないな。」

(もし?そうか、模擬試験か。確かにぶっつけ本番の受験では不安だし模試は受けるべきなのかもしれない。)

色々と話を聞いてみると、模試は大手の塾が実施しているらしく、なんと東大専用の模試もあるそう。センター試験用の模試もあるみたいでした。模試といえばはるか昔、高校受験の直前に受けたことはありましたが、結局高校には面接で入ったので模試はあまり役に立ちませんでした。(ちなみにその模試中にお腹が急に痛くなり試験を途中退出してしまいました。)

今回の大学受験は人生で初めての学力試験。やはり模試などを受けて準備を整えたい、ということでN田にいつ頃あるのか聞いてみると、

「もうすぐ最終の模試の締め切りくらいじゃないかな。」

それを早く言えよ!と思いましたが、自分で調べていない僕の方が悪いので、教えてくれてありがとう、という感謝の気持ちに切り替えました。

調べてみると、確かに一つだけ受けられる模試がありました。11月の中旬頃に駿台という塾?が実施する「東大模試」。締め切りギリギリで申し込みました。会場は御茶ノ水にある駿台の校舎です。

当日、少し不安な気持ちを抱えながら御茶ノ水に向かいました。そして現地に着いてみると信じられない光景が広がっていました。

なんと会場にいるのはみんな制服を着た高校生!

当たり前か…

しかしながら家で一人で勉強を始めた僕にとっては受験の競合相手が現役高校生(または浪人生)だという実感が全然なかったのです。しかし模試会場にはリアル高校生たちが制服に身を包み座っています。もう一ヵ月で28歳になる僕とは溢れ出る生命力も肌質も全然違います。

正直ビビりました。

そしてあることにも気付きました。

それは高校の制服というのはただの服ではなく防具であり強力な武器でもあるのです。

「自分は現役高校生である」という受験における確固たる地位を示す防具。(←勝手な偏見)

そして「自分は◯◯高校である」という相手を牽制するための武器。(←そもそも高校の制服見分けられない)

まあ制服のことはさておき、僕は場の雰囲気に完全に飲まれてしまっていました。しかも周りに座っている高校生はこの駿台御茶ノ水校舎に通っている子が多いようでした。アウェー感たっぷりです。

そして試験開始の合図とともに鳴り響く鉛筆の音。10代の若さと瞬発力は自分の名前を書く時間も限りなく短縮させます。テスト慣れしていない僕は自分の名前を書くのでさえもその3倍の時間を要します。

なかなか不安な出だし…

どうなることやら…


To Be Continued...(毎週金曜日連載)