こんにちは。もう金曜日。そしてもう8月も後半ですね。僕はこの時期から9月末くらいまでの時の速さに心がセンチメンタルになります。9月中旬あたりに外プールに入った時に森山直太朗の「夏の終わり」が流れ出した時なんかは涙が出そうになります。(出たことはありませんが。)まあ今年は外プールに行くこともなさそうですが。。それくらい夏から秋にかけての季節の移ろいはダイナミックかつ儚いものです。
僕の東大受験もそうでした。受験にかけた時間が短かったこともあって、その中で多量のエネルギーを生み出し爆発させ、その後収束に向かいます。夏休みみたいなものなんですね。そもそも受験した目的というのも今ある自分のエネルギーを増幅させて何かにぶつけてみたかったというのが一番。手の込んだ自由研究みたいなものです。そういえば小学校の自由研究で「妖怪巻物」を作ったことがありましたが、あの時もエネルギーを注ぎ込んで小学生にしては見事な作品が出来上がりました。(自画自賛…⁈)受験もそれに似たような感じですね。
さて、東大受験物語もあとわずかです。
前回の話↓
数学の答案用紙をほぼ白紙で提出するというほぼ予想通りの結果で東大本試験初日を終え、いよいよ2日目、受験最終日です。
ところで受験期間が短く東大一本だけに絞っていたので当然滑り止めなどは志願していませんでした。なのでこの2日間が最初で最後の試験日でした。もし仮に落ちたとしても来年もう一度受けようなどとは考えていませんでした。羽化した後のセミのようにほんの一瞬だけで全てを出し尽くそうとしていたのです。
セミの話はさて置き、舞台は冬です。2日目の天気はというと朝の時点で雨こそ降っていませんでしたが前日よりも雲が厚く怪しい雰囲気でした。若干の低気圧。初日と同様ブラックの缶コーヒーを買って駒場キャンパスに向かいました。
試験会場は前日と同じ。2日通うと古い木の床や机にも愛着が湧きます。新しい建物にはない独特の匂いが鼻を刺します。
そしてまた開始30分前のカフェイン摂取。ギリギリまで参考書に目を走らせます。一科目は日本史と世界史。ほぼ全て論述問題なので少しでも頭に材料が多い方がいいのです。特に世界史は時代の流れ、世界の動きをどう読むかの着眼点が大事になります。
そして試験開始。150分120点満点の問題です。日本史と世界史はまあまあでした。「この時代が
出たかぁ。。」という所はありましたが、それは過去問などと一緒。完璧ではないものの自分なりにストーリーを組み立てて記述できました。終わった後の手応えとしては70点くらいはとれたかなという感じ。可もなく不可もなく終われました。
そしてお昼休憩をはさんで最終科目の外国語。過去問でも一番点数を稼げてた所だったので楽観視していました。油断してはいけないとわかっていたのですが歴史を終えてなんとなく気を抜いていました。
試験開始後、全ての問題に目を通さず一問目から丁寧に時間をかけて解き始めました。というのも過去問ではだいぶ時間に余裕があったのでミスのないようにゆっくりスタートしたのです。しかし2問目に進むと、
(あれ??どうした…?)
(あれ…もしかして難しくなってる…⁇)
そうなのです。例年に比べて明らかに文章の内容が難しいのです。ただ読むのだけで時間がかかります。
急に冷や汗(脂汗?)がブワッと全身の毛穴から吹き出ました。自信があった科目だけにここで点数を取れないと数学の白紙が埋められないのです。
必死に頭を回転させて途中から一気にペースを上げました。悩んでるヒマはありません。最初で最後の受験の最後のテストだけ頑張ればいいのです。
最初は丁寧に書いていた字も途中からは乱雑になりました。序盤で字の綺麗さなど求めていた自分に腹が立ちました。タチの悪いことに丁寧に書いたところで僕の字はたいして綺麗じゃないのです。
(油断したな。。でもそんなこと言ってられない。「今」に集中しなきゃ…!)
初めてのマインドフルネス。ヨガを知らないとか言ってられません。超絶にヒマだった前日の数学から一転、めちゃくちゃ忙しい時間を過ごしました。鉛筆を握る手の内在筋も外在筋もどんどん疲労します。そこはカフェインパワー。
そしてついに試験終了の合図。なんとかギリギリで問題を解き終わりました。
解放。。七ヶ月間お疲れ様でした。悔いはありません(嘘)。
試験が終わった後はすぐに帰れるわけではなくて教室で待機。整理退場となります。(駅での混雑を避けるために教室毎に帰れる時間が異なるのです。広い会場のコンサートなどで行われるやつと一緒です。「アリーナ席Aブロックご退場ください。」みたいな。)
僕がいた教室はだいぶ後半の退出だったようで試験終了から40分以上もそのまま机で待機してました。その間に外がどんどん暗くなりゴロゴロと雷が鳴り始めました。強まる低気圧と全てを出し切った疲労感でカフェイン作用が残っているにもかかわらず教室の机で眠ってしまいました。
死んだように眠ったので退出の時を知らせる試験官の声で目覚めた時には机がヨダレだらけになっていました。。
(まだ入れるとも決まっていない教室でごめんなさい。でも春にはここに戻ってきてちゃんと除菌するよ。)
袖で拭ったヨダレの跡地に心の中でそう呟いて僕はその教室を後にしました。
アナ骨で脂肪を燃やすよりもはるかに高い燃焼率で心身の全てを燃やし尽くした日でした。
To Be Continued...(毎週金曜日連載)