頓挫した計画

2023/09/12
マルギナータリクガメ
保護リクガメのギーナ(マルギナータリクガメ)を引き取ってから三ヶ月ほど経ちましたが、その生活ぶりを観察していると色んなことがわかってきました。

まずなによりも…

頭がいいのです。

以前にブログで書きましたが、裏庭で生活しているギーナが大好物で栄養のあるものをいつでも食べられるように、ホワイトクローバーを一面に繁茂させる計画を実施中です。

つまりはクローバーの種を蒔いたところはブロックや柵などで囲んでギーナが侵入できないようにしているのです。若芽をバクバク食べられてしまうとクローバーが全然増えないからです。

ある程度増えてしまえばクローバーの成長速度がギーナの食べる量を上回るので常に食べ物を維持できます。

なので今は犬小屋(ギーナが夜寝る家)の横の区画は立ち入り禁止にしてあります。

しかし…

昨日ふと庭を見てみると、なんとギーナがその区画に侵入してクローバーをバクバク食べてました。侵入防止の重いブロックや柵がその横で転がっていました。

なんと全部なぎ倒していったのです。本人はケロッとした顔でクローバーの若芽を食いまくっています。

僕がギーナを眺めているのに本人(本亀)も気づいて一瞬動きを止めましたが、次の瞬間には悪びれる様子もなくしれっとした顔で再びクローバーを食べ始めました。

まさかあのバリケードを突破するとは…頭の良さも力の強さも侮っていました。

そして…

事は夜起こりました。

日が落ちるとだいたいいつも妻がギーナの家の戸のカギをかけます。暗くなるちょっと前にはギーナが自分で犬小屋の中に入って寝床でじっとしてるので、扉だけ閉めてカギをかけるだけでいいのです。これで夜のタヌキやハクビシンから身を守れます。

昨日もいつも通り妻が犬小屋のカギをかけていました。特に犬小屋の中を確認することもなく。

たまたま僕はその風景を見ていたのですが、突然得体の知れない違和感が頭をよぎりました。そして妻に聞きました。

「ギーナは犬小屋に入ってる?」

妻は答えました。

「全然確認してないけど、もう暗いし入ってるでしょ。」

確かに犬小屋を導入してから今まで毎日ギーナは自分で家に入っていたのです。1日も欠かさずに。リズムのある生活が絶対的な正義であるとでもいうように。

しかし、僕の頭の中には午前のギーナの様子が浮かんでいました。クローバー区域に侵入してムシャムシャ好物を頬ばる顔。。

「いや、なんだか胸騒ぎがする。」

と僕は庭に出て本当にギーナが家に入ってるか確認しに行きました。スマホの光で犬小屋の小窓を照らし目を凝らしてみると…

いないやん…!

犬小屋空っぽやん…!

誰もいないのにカギかけてしまっとるやん…!

そして庭中を照らして確認してみると…

家から庭に出る窓のすぐ下の影でギーナはじっと丸くなっていました。

そしてその顔は「バレちまったか…」という無念の表情。

おそらく早朝からまたクローバー区域に侵入しようとしていたのです。誰も起きていない時間に心おきなく食べたかったのでしょう。

今までに欠かしたことのない「自分で家に入る」というルーティーンでこちらの信頼を勝ち取り、そしてその信頼を利用して今回の作戦を実行した。

恐ろしく頭の切れる亀。

しかし妻はやり過ごせても、僕の思考を上回ることはできなかったのです。

知恵と知恵のぶつかり合い。

これからも続くのでしょう。

どことなく悔しそうな目をしながらギーナは家に帰っていきました。

今回は惜しかったな…

だが相手が悪かった…

ギーナよ、またいつでも挑んでこい。受けて立ってやる。

ということでまた次亀!!